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2011年8月27日 (土)

『さよならの風景』

4年前に句集『喝采』を自費出版したダンナ、一羊。

実は自費出版はこれが初めてではありません。

約30年前、就職したての頃、彼は一冊の詩画集を出しています。

え~と、私と知り合う前ですね。 タイトルは『さよならの風景』。

今日、この記事のために押し入れをゴソゴソして探し出しました。

度重なる引っ越しと水害にも耐え、比較的状態はいいです。 ↓

Photo_2

詩は一羊(当時は本名)、画は友人の鈴木亜洋氏(ペンネーム)。

~筆者の弁明~と題したエピローグによれば、詩画集作りを始めた

のは高校3年のことであった。僕が中学時代から書きためていた詩に

鈴木亜洋氏が絵をつけてくれたのである(中略)失恋や片想いの詩が

多いのも、この過去に出会った、あるいは僕の観念が作りあげた架空

の少女らへの憧憬のためである。(中略)あくまで実ることのない想いで

あることは自分自身わかっているのだから、ラブレターであると同時に

別れの手紙でもある。そしてまた、それはとりもなおさず、自分の

「少年期」への訣別でもある。  

遠い憧れは、いつも僕を寂しくさせた。 いや寂しささえも遠かった。

とあります。全部で41編がおさめられていますが、その大半を

貫いているのは「少女趣味」です。(笑)

一羊が生徒達から「シラハマ・ブルー」と呼ばれていた頃、私は彼から

この詩集を手渡されました。 capricornus 「読んでみて。」って。裏表紙には

(およそ上手とは言えない)彼の字でこう書いてありました。

「とんちゃんへ。二人の万有引力を信じて。」 (sweat01sweat01ハズカシーィsweat01sweat01

gawk イッタイ 何人の女性にこのテを使ったんだろう、フンdash

とか思いながら受け取ったのを覚えています。(笑)

そうは思いながらも、読後、ずいぶん長い感想文(?)を書いて

彼に渡したことも記憶にありますが、今その手紙は見あたりません。

41編の大半を占める少女趣味的詩には、正直、ちっとも惹かれま

せんでしたね(爆)。その中から10編、もう、私の特権(どんな?)で

まともそうなのをご紹介します。(画像クリックで大きくなります)

~プロローグ~

  僕を愛し  僕が愛さなかった者へ

  僕を愛し  僕が愛した者へ

  そして

  僕が愛し  僕を愛さなかった者へ

  捧ぐ

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41編のなかの比較的好きな、一羊”らしさ”が出ている10編を

載せましたが、一番好きなのは一番最後の「夜空」です。

これだけしか好きじゃないかも(爆)。この詩だけが他の40編とは

異質で、かつ、現在の一羊の俳句に通ずるものがあるように思います。

おもしろいのは、30年近くたっても内なる世界において、

一羊も私もあまり変わっていないということ。進歩がないのね(笑)

昔もこの「夜空」をべた褒めした記憶があります。

筆者の弁明(エピローグ)の最後はこうです。

 武者小路実篤の「淋しい」という詩の終連はこうである。

    愛する者には愛されず

    何事もせずに生きられるために

    自分は自分の淋しいことの好きなことを

    感謝する。

 僕の唯一の友人でもあるような「さびしさ」も、

 ふと気づけば、見知らぬ他人の顔をしている。

 いつも僕の影法師のように寄り添ってきた

 「さびしさ」に、ふいに後から目隠しをされて

 僕は迷子になってしまう。

Photo_13   青は静寂、青は「さびしさ」、

  詩であれ俳句であれ、

    これらはみな

  一羊という人の

    真ん真ん中にある、

    しんと静まりかえった

「青」から湧き出ているに違いない。

  

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コメント

とんこ 様
 私も 夜空が 一番すっと心に入りました。
 それと 謝辞も いいなぁと おもいます。

投稿: はまゆう | 2011年8月27日 (土) 18:04

時に銀色夏生、あるいは白秋、賢治。
そして、トータルで思い浮かぶのは村下孝蔵。
そういう感じです。

先生は、こういう混沌(失礼ながら)の中から、17文字で切り取る世界にいらしただと、なんとなく納得できました。
冬の大三角には、わたしもしょっぱい想い出があります。

投稿: カンナ | 2011年8月27日 (土) 19:30

詩も挿絵もいいですね。
高校生の頃の作品ですか。
ステキな青年だったのですね。

昔の愛読書“少女の友”のっているような懐かしさを感じました。
その頃は 中村メイコさんの詩や
正田 美智子さんの詩が一般の投稿でのっていたころです。
だいぶ昔の話です。

投稿: tonkoid | 2011年8月27日 (土) 21:39

おはようございます。
とても貴重なものを有り難うございました。

約30年前のご主人様と
若くて可愛らしいトンコさんの出会いや
「さよならの風景」の詩集の存在・・
人に歴史ありですね。

詩集全て・・読みました。
若き日の先生を彷彿しています。
宝物ですね。

投稿: りまど | 2011年8月28日 (日) 09:28

pig はまゆうさんへ

ありがとうございます。

この10編の他は、そりゃもう…なんと言うか…
思わず「ケェ~ッ!」なんて、はしたない言葉が口から出てしまいますよ。

「少女」というタイトルはⅠ~Ⅲ、「初恋」というタイトルも同様にⅠ~Ⅲ
まであります。他に「片恋」「恋哀」「初愁」など、詩に登場する女性は
皆一様に、はかなげで、つつましやかで… capricornusの理想なのでしょう。

おもしろいものですね、理想とは対極にある女を妻にするなんて。(笑)

投稿: はっきんとんこ | 2011年8月28日 (日) 17:06

pig カンナさんへ

<先生は、こういう混沌の中から、17文字で切り取る世界に
いらしたんだと、なんとなく納得できました。>

だれでも最初は混沌とした中にありますよね。

今は17文字の中に混沌を閉じ込めているのかもしれません。

カンナさんのしょっぱい思い出も気になります。confident

投稿: はっきんとんこ | 2011年8月28日 (日) 17:14

pig tonkoid さんへ

「少女の友」ですか?…調べてみました…す、すごい!
 
  「少女にこそ一流の作品を」のモットーのもと、
  川端康成、吉屋信子、中原中也らが筆をふるい、
  若き中原淳一が表紙画家として活躍した雑誌

とありました!  中原淳一描く少女は私もなにかで見た記憶があります。

『少女の友』の誕生から100周年という節目を記念して、“幻の誌”が

1号だけ復活するそうですよ。アマゾン(Amazon.co.jp)で買えるようです。

投稿: はっきんとんこ | 2011年8月28日 (日) 17:30

pig りまどさんへ

宝物…のわりには、売れ残り(?)数十冊が古い古い段ボール箱に。

4回の引っ越しでは箱が開けられることなく封印coldsweats01
かつて物置に入れていたら水害にあうなど、
「紙モノ」にとっては過酷な条件下にあったわけです。coldsweats02

今回私が思い出さなければ…ずぅ~っと日の目を見なかったかもです(笑)

投稿: はっきんとんこ | 2011年8月28日 (日) 17:41

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